2月21日(金)、HRC(ヒューマン・リソース・センター)(※)の取り組みの一環として、学生に税に関する学修の機会を設けるため、学生が講師になって確定申告講座を実施しました(対面/オンラインのハイフレックス方式)。
学内・学外で様々なアルバイトを掛け持ちしている学生は確定申告が必要となりますが、実施している学生は少ないのが現状です。確定申告を行うと、源泉徴収で払いすぎた所得税を還付金として取り戻せることを知らない学生もいます。本学では毎年こういった講座を実施しており、今回で12回目の開催となります。
経営経済学部の岩佐由加里教授による基調講演「確定申告を通じて考えてみよう~税金の仕組みや申告手続~」の後、経営経済学部2年生の有坂真由子さんが確定申告についての説明を行い、申告書の一般的な作成方法をレクチャーしました。
参加者はあらかじめ源泉徴収票やマイナンバー、通帳等を手元に準備し、実際に国税庁のHPに必要項目を入力して提出書類を作成。各自のスマホで源泉徴収票をスキャンし、講座の時間内に書類を完成させるまでの流れを学びました。
今後、卒業後に確定申告を行う機会があるかもしれない学生たちにとって、税について考える1日となりました。
(※)嘉悦大学にはキャリア支援の一環で学生が学内の様々な業務に関わり働きながら学べる制度があります。学内で学生が働ける様々な業務を準備することで、経済的な支援になると同時に実践型のキャリア教育となっています。
当日は多くの学生が対面だけでなくオンラインでも参加してくれました。確定申告について皆さんが関心を持ってくれたこと、そして、私の担当する授業以外でも確定申告講座として「税」について話す機会をいただけたことは、本当に有難いことだと思っています。
私自身が大学生だった頃は、アルバイトでは「『103万円』を超えて働いてはいけない」と親から厳命されて、それを素直に守っていただけで、税務署に所得税の「確定申告」をすべきかどうかなんていうことは考えたこともありませんでした(なお、給与所得者の「103万円の壁」は、これまで30年近く変わっていませんでした)。
一番伝えたかったのは、「『税』は自分自身にも影響する身近な問題なんだ」ということです。
おそらく皆さんには、これまで税金に対して「税はとられるもの」、「難しそうだし、よく分からない」などといったネガティブな印象がきっとあって、できれば関わりたくないと思っている人も多いのではないかと思います。
今回の講演では、所得税の基礎控除や給与所得控除の見直しについての現在の議論の状況にも触れましたが、税制改正により基礎控除等が見直されることになれば、皆さんがアルバイトで所得税がかからずにいくらまで稼げるか、ということも変わってきます。
税制が変わることによって自分自身の働き方にも影響があり、そして、自身が負担すべき税金の増減にも当然影響することになります。
「税」は、自分とは関係のない遠くの世界で起こっていることではない身近な問題なので、皆さんに知らないままでいてほしくありません。私は現職の国税職員として嘉悦大学に出向してきていますので、税について少しでも皆さんに知ってもらうことが私自身の使命でもあります。
今回の確定申告講座をきっかけに、日頃から、税に関する様々な情報にも関心を持ってもらえれば、そして、税制や税の使い道なども問題意識を持ってほしいと思っています。
そして、今回の講演でも説明をしたとおり所得税の計算方法は中々難しいですが、スマートフォンやパソコンで申告すれば自動計算してくれて結構簡単!ということも実感してもらえたと思うので、今後も引き続き、スマートフォンを使った所得税の確定申告をお願いします。
大学を卒業して社会人になって本格的に働くようになると、今よりも多くの税負担することになる人が多いのではないかと思います。皆さんには、立派な納税者として社会や国の在り方を主体的に考えることができるようになってほしいと願っています。そして、税への理解を通じて、適正な申告・納税をお願いしたいと思っています。
■岩佐由加里教授プロフィール
嘉悦大学経営経済学部および嘉悦大学大学院ビジネス創造研究科で教鞭をとっている。国税庁の現役職員。専門分野は租税法。主な担当科目は税務会計論・研究会A1~6(以上経営経済学部)、租税法研究(法人税法、所得税法)・税務研究(国際課税政策)・研究指導Ⅰ~Ⅳ(以上ビジネス創造研究科)など。
スマホで行う確定申告講座は今年が初めてだったので、その分の資料作りが大変でした。工夫したこととしては、簡単に確定申告ページを開けるようにQRコードを準備したり、申告者に合わせて数パターンの説明を用意しておいたりしたことが挙げられます。
大人数を相手に確定申告の手順を進めていくことは、参加者のペースが揃いづらく難しさを感じましたが、岩佐先生のご協力もありうまく終われてほっとしています。
人前に立つという経験は今後もプレゼンやコミュニケーション時の自信につながると思います。
将来は公務員を目指しています。安定のためという気持ちが大きいです。税務署の職員も選択肢の一つです。
■有坂真由子さん(経営経済学部2年)プロフィール
ICT・データサイエンスコース/辰巳・岡本研究会/iCASS(情報メディアセンター学生スタッフ)
研究会では、2年次は西武信用金庫様主催の「地域連携スチューデントアワード」に参加し、中小企業の技術やサービスを元にして新製品を考え発表。3年次からは、Minecraft(マインクラフト)というゲームと動画配信を利用して新宿区の商店街の魅力を発信する活動を行う予定。
HRC(ヒューマン・リソース・センター)のiCASSに所属し、学内で働きながら学んでいる。元々アルバイト先を探していたが、パソコンに苦手意識がなく、学内で働くなら空きコマも活かせて着替えや移動の時間も少ないということでiCASSを選択。
今回初めて確定申告講座の講師を務めた。
※本講座は、個別の相談や書類作成が目的ではなく、税への理解や関心を深めるための学びの場として開催しております。
※書類の作成についても、最終的には税務署や税理士に相談するなど、自己責任となっています。