嘉悦大学女子バレーボール部(2025年4月発行)

更新日:2025.04.01

「全日本インカレ2024」 第3位の大躍進!!

嘉悦大学の女子バレーボール部は、創部以来全日本インカレで優勝6回、準優勝3回を誇る(短大時代を含む)名門チームです。令和に入ってからは1回戦敗退の低迷が続き、一時は2部降格の危機にも見舞われましたが、チーム一丸となって不死鳥のごとく見事に復活を遂げ、7年ぶりにセンターコートに返り咲きました。一昨年までの屈辱を跳ね返す堂々の第3位。“最後まで諦めない嘉悦女子バレーボール部”の奇跡の大躍進を振り返ります。

取られたら取り返す”嘉悦スピリット”

激闘!!全日本インカレ2024

vs松山東雲女子大学
30
1回戦は組み合わせのよさを祈りがちですが一回戦から決勝戦のつもりでいかないとトーナメントでは勝てません。データがないチームでしたが、スパイクを打ってくる選手が限られていてレシーブ対応がしやすく順調に勝ち残ることができました。

vs鹿屋体育大学
30
守りが堅く、ガツガツ打ってこずに冷静沈着に敵のミスを誘う九州NO.1のチームです。お互いに拾い合いの辛抱の試合が続き、2セット目で接戦となり、相手がレシーブで自滅してくれたので一気に引き離して勝利をつかみました。

vs 天理大学
31
高い位置から打ってくる攻撃型チーム。左右にまんべんなく打ってこられると対処できなくなるため、サーブで崩して最善ポジションでスパイクを打たせないように注意しました。理想の戦い方ではありませんでしたが粘りでしのぎ切りました。

vs東京女子体育大学
31
秋リーグでフルセットで勝ったチームなのでフルセット覚悟でのぞんだ試合です。とにかく勝ちを焦らないことを心がけ、取られても取り返す気持ちを保ち続けました。過去に何回も対戦して手の内を熟知していたのでこちらのペースでした。

vs青山学院大学
23
高さも速さもあって、攻撃も守備も強く、弱点がない関東屈指のチームです。いままで一度も勝ったことがありませんでした。ブロックに当てて出すくらいのイメージでブレイクを狙わずサイドアウトだけを完璧に。悔しいですが、あと一歩及ばずでした。

vs東海大学
31
7年ぶりのセンターコートです。未経験者もいて浮き足立たないように野呂キャプテンが手綱を引き締めました。当然、メダルを意識しましたが、丁寧にレシーブする嘉悦バレーを貫きました。4年生の最後の大会を有終の美で締めくくりました。

私にとっての嘉悦バレーの集大成

野呂桃花
前キャプテン/古川学園高等学校出身

私が高校時代を過ごした古川学園は、大型選手を何十人も集める春高バレー準優勝を誇るトップチームでした。バレーという競技は、相手の弱点、つまり穴を見つけて攻め合うスポーツです。レシーブが弱いとわかると徹底的にそこを突きます。古川学園はスパイク、レシーブ、トス、サーブすべてにおいて苦手をミリ単位で克服することが求められました。
嘉悦大の女子バレー部は、それぞれに弱点があるチームでした。スパイクを打てるけどレシーブがうまくできない、ブロックができるけどスパイクの威力がない、という状態からのスタートでした。2年、3年とインカレ1回戦負けの試合が続き、勝つことが当たり前だった私にとって負けることは本当に悔しい思いがしました。なぜ負けるのか、どうすれば勝てるのか、を考え続ける日々でした。
3年のシーズン末に自ら立候補してキャプテンになり、入れ替え戦という、どん底からのスタートでした。皆に伝えたかったのは、お互いがライバルだし、傷をなめ合っても前に進めない、レギュラーだから安泰なわけじゃないということ。嫌われることは承知のうえでしたし、わかってくれるとも思っていました。練習は厳しくとも寮に帰ると女子高生のようにはしゃげる環境も有難かったです。旧来の上下関係ではなくフレンドリーで何でも言い合えるチームづくりを目指し、練習メニューも自分たちでどんどん提案していきました。
日本一を目指して結果は3位に終わりましたが、センターコートでやり切った思いがこみ上げてきました。
後輩たちは、3位というのが新たな壁になって襲ってくることがあるかもしれませんが、自分たちがいままでどのようにして勝ってきたのか、それを信じてやれば恐れることはありません。
私の現役生活はこれで終止符を打ちますが、いつまでも後輩たちの試合を見守りたいですし、いままでとは違うかたちでバレーと関わり合いたいと考えています。

フレッシュな顔ぶれで連覇を目指してスタート! 新生・嘉悦大学女子バレーボール部2025

入山莉音
新キャプテン/豊橋中央高等学校出身

女子バレー部に入部した最大の動機は、明るいチームであることです。高校時代に嘉悦の練習にお邪魔したことがあり、一点取ったらコート内でワーワーと盛り上がるのが印象的で、このチームに入ったら楽しくバレーができそうだと感じました。1、2年生の頃は、練習についていくのに精一杯で自分にできることは何かと考えて、とにかく声かけを大切にしていました。
昨年の春リーグで入れ替え戦になったときは不安でしたが、野呂キャプテンがレギュラー陣を集めて、先輩後輩で言いにくいことも全部言い合おうということになり、とことん話し合いました。それがきっかけで春、夏までは淡々とこなしていた練習が秋から意識的に課題を絞り込んだものに変わり、勝ち星が増えていきました。
自分がどういうトスがほしいのかをきちんと伝えてタイミングが合わなければ、もっとこうしてほしいと遠慮なく要求します。できなければ自主練習で残ってタイミングが合うまで繰り返します。そのうえでよいトスがきたときは、いまのトスよかったよ、と褒める。そうした小さい積み重ねから信頼関係が生まれてチームワークが高まっていきます。
野呂キャプテンからは、新キャプテンだからといって一人で抱え込まずに同級生や後輩に頼っていいんだよ、という言葉をいただきました。
インカレで勝った翌年は厳しいという声もありますが、だからこそ予想を覆したいという思いがあります。嘉悦のバレーは逆転のバレーです。今年の目標である「己に勝つ」ことでさらに上位を目指したいと考えています。

全寮制と少数精鋭の結束力の強さ

鈴木 惠
新監督

2024年は、入れ替え戦という逆境はありましたが、前回3位になった7年前にもコーチをやっていた私は、春から今年はイケる、という予感めいたものがありました。レギュラー6人中4人が4年生という布陣で4人は、丸4年間、同じメンバーで切磋琢磨してきた集大成の年だったからです。まさに7年前も同じ状況でした。
嘉悦大の女子バレー部の特色は、首都圏出身者も地方出身者も全寮制であることです。キャンパス内の寮で生活をして同じ釜の飯を食べる。もちろん、授業もサボりようがありません(笑)。嘉悦大は、体育館を使う部活動が少ないこともあり、事実上、体育館が女子バレー部専用コートとして練習に集中することができます。十数人という少数精鋭主義によって全員に目を配りやすいのもメリットです。
練習メニューは監督コーチ任せにせずに、選手が自分たちで意見を出し合います。練習試合で課題を拾い上げながらメニューを逐次工夫するのです。トップチームほど、少しの意思疎通の乱れや小さな判断ミスが勝敗を分けます。その意味では、24時間を共にする全寮制がうまく機能していると思います。
今年はポスト3位の年にあたります。7年前は3位を取った翌年にメンバーがガラリと入れ替わり、入れ替え戦の苦境を味わいました(苦笑)。しかし不屈の4年生の背中を見て育った新チームの選手たちは、二度と同じ轍を踏むまいという強い気持ちで奮起してくれると信じています。

どん底から這い上がった鋼のメンタル

永久寿夫
嘉悦学園理事長

このたびの女子バレー部の皆さんの快挙には拍手を送りたいと同時に感謝を申し上げたいですね。春のリーグ戦では12チーム中11位にまで落ちて、入れ替え戦にのぞむという、まさにどん底を味わったにもかかわらず、そこから這い上がって3位まで上り詰めました。勝てば勝つほど強くなっていく。秋リーグから全日本インカレまでは破竹の連勝です。欲をいえば優勝してほしかったですが(笑)、成長率でみれば、優勝、準優勝のチームに決して引けを取らない、むしろそれを上回るものであったように思います。
私はスポーツの専門家ではなく、一応援団でしかありませんが、どんなことでもどん底から這い上がるためにはメンタルの強さが必要です。一人ひとりの選手の意志の強さ、集中力の高さ、動じない心、逆境を楽しむ心、それに加えてコミュニケーションやチームワークなど相当な努力によって今回の成果が導かれたのだと想像します。
人が成長するときには痛みをともなうものです。大きくジャンプしようとすれば深くしゃがみこまないといけません。しゃがみこむ状態は、まさにどん底であり、彼女たちは、文字通り、深くしゃがみこみ大きくジャンプをしてスパイクを決めてくれました。
今回の快挙によって学生や教職員の一体感が醸成されたことは間違いありません。女子バレー部が学内の部活動にとどまらず広く地域へも影響をおよぼす存在に発展することを期待しています。

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