主催︰嘉悦大学 経営経済学部 協力︰西武鉄道(株)西武バス(株)東京女子学院高等学校漫画研究部
なぜ嘉悦大学が? カエツの経営経済学部で人気のマーケティングコースには、広報・宣伝のプロフェッショナルである教員も、地域振興策の専門家教員もいます。
両方の専門領域からの教育を行っている大学だからこそ、このコンテストが主催できたのです。若い感性に溢れた全国の高校生の応募作品から、入賞作品を一挙ご紹介いたします。
最優秀賞
『千住の魅力』
足立区
東京都立第一商業高等学校3年生
【講評】
本作品は全審査員の間でほぼ満票に近い評価となりました。そのポイントは千住大橋から隅田川越しのパノラミックな景色の写真が印象的であること、そこに分かりやすく千住の魅力を伝えるコピーが載っているところです。このまま電車の車内広告にしてもいいくらいの完成度だと感じました。このように印象的な写真と適切なコピーを重ねた作品は他になかったので、来年の応募者はぜひ参考にしてほしいと思います。コピー(立ち止まれば千のいいトコロ)に関しても、千住にかけてベタに「住めば、千のいいトコロ」と言わずに、「立ち止まれば」と少し抑えたところが、興味を惹く要因になっている。文字のフォント、サイズも計算されており、高いクリエイティビティを感じました。
学園祭開催中の11月3日、カエツホールでの授賞式では、入選10作品、特別賞3作品、優秀賞5作品、準優秀賞1作品、最優秀賞1作品の表彰が行われました。本コンテストの発案者である國田圭作先生による受賞作品への講評、広報論を担当する濱地徹先生による広報論セミナーがあり、最後に永久寿夫理事長から本コンテストに対する手応えと次年度以降の継続への抱負が語られました。
國田圭作教授
昨今、若い世代がSNSなどを通じて自らのクリエイティブを存分に発揮し、写真や動画、イラストや歌、ダンスなど、多彩な表現方式でオリジナル作品を世の中に発信するようになっています。しかし、そうしたクリエイティブは、現時点では純粋なアート作品として発信されており、アート作品として消費されているだけで、社会を動かし、社会課題を解決する広報アイデアにはつながっておりません。それは、大変、もったいない状況であると考え、若いみなさんのクリエイティブなアイデアを、もっと企業や組織、そして社会の課題解決に活かせないものかと考えたのが本コンテストの開催の意義です。
審査基準については4つの観点を立てました。
1点目は、住んでいる地域の魅力を伝えられているか、という本コンテストのミッションつまり課題との合致度です。
2点目が、作品を閲覧した人の興味と共感を獲得できる魅力的な表現か。つまり魅力度です。これは誰を、どんな人を主たるターゲットとして意識するかでも変わってきます。高校生ならば、同世代の若者をターゲットにするのが一番、やりやすいと思います。
3点目は、作品を閲覧したときに、伝えたい内容・意図がすぐ、容易に理解できるか。つまり内容理解度です。今、世の中の人は大変忙しいので、たくさんの情報が溢れている中で、ぱっと目を惹き、かつ瞬間的に内容を理解してもらわなくてはなりません。広報コミュニケーションにおいては、この内容理解度がもっとも重要になります。相手がある以上、ひとりよがりではだめです。これがアート作品との一番の違いです。
4点目が、独創性です。高校生らしい新鮮な着想と個性・オリジナリティを持つ創作であるかどうか。たとえば、テンプレートを使えば、簡単に質の高い作品が作れるでしょう。テンプレートを使うことは構いませんが、そこに独創性を盛り込むかが問われます。
以上の観点で、私を含め5人の審査員が議論を交わし、受賞作品を選定させていだだきました。今回の優秀作品はすべて、課題合致度、魅力度、内容理解度で基準を大きくクリアし、かつ、その上でテンプレートに頼らない独創性という点で、優れていました。
本コンテストを通じて、アート作品が素晴らしい広報アイデアに転換できることを理解していただき、若い世代の自由で切れ味のいいアイデアを、どんどん、社会的発信や企業や組織の広報アイデアに役立てていって欲しいと願っています。