研究会一覧人工知能技術とシミュレーション技術による将来予測

滑川 光裕 教授

ICT・データサイエンス
人工知能
将来予測

教員の専門分野/情報システム学、システムシミュレーション工学

テーマは「人工知能技術とシミュレーション技術による将来予測」。ビッグデータを活用するための情報処理技術など、これからの世界を豊かにする知恵や技術を養います

就職にも役に立つアプリ開発技術(パソコン・スマホ・エッジPC)を身につけるため、グループで研究に挑みます。

過去の学生との研究では、渋谷スクランブル交差点や銀座4丁目交差点などで、人の動きを認識して、パーソナルスペースと人間空間飽和量(いわゆる「密」の度合い)に関する調査・研究したりすることで、青信号の間に渡ることのできる最大人数の推定をしたり、吉祥寺の交差点での自動車や横断歩道の人の流れをAI認識させ、今後の渋滞予測についての研究をした学生もいます。最近は、AIチップ(NVIDIA製)搭載のワンボードコンピュータを用い、自動車と人間の動きに関する研究プロジェクトも行っていました。また、留学生の中にも、自分の国の交通解析をしようと、母国の交通データを取得して解析した学生もいます。

経営マネジメントとの融合研究例では、①コンビニエンスストアやスーパーにおける人の出入りや店内商品配列、買い物店内動向のAI認知による今後の人員配置(レジや品出しの要員)計画とコスト算定、②道路におけるETC・料金所と交通容量による料金所システム設置・人員のコスト算定、③Yahoo!混雑レーダーなどによる都心の人の移動の現状と代替交通(例えば、大地震による鉄道不通時や、自動運転タクシーへの代替など)の移動時間・コスト計算、④最短経路や最短時間ではなく、楽しく快適に移動する(混雑を避ける、眺めの良いルートなど)ためのナビゲーションシステム開発、⑤オープンデータ(現在の電車やバスの位置情報、感知器による渋滞情報、公共施設の位置と状況などのインターネット上で数値として公開されている情報)を用いて組み合わせたスマホ上での新たなサービスシステムなど、ゼミ学生たちと様々な研究に取り組んできました。

このように、それぞれが社会システムを研究対象とすることで、情報通信技術の習得、その理論の検討、アプリでの実践方法(アルゴリズム)研究などについて、担当教員と打合せをしながら進めていきます。これら、社会に貢献する研究を行うため、滑川研究会では、1年次の研究会を決めた時(2024年1月)から活動し、1年を通して決まった曜日(ここ数年は木曜日)に研究活動を行います。

なお、研究会1~6まで、それぞれの学習イメージは、以下のようになります(それぞれの学習意欲に応じて変更することがあります)。2024年度からの滑川研究会学生については、プログラムやコンピュータの基礎を学んだあと、グループ研究を中心に進めていきます。

研究会A1(2年生春学期)
初期の段階ですので、コンピュータの仕組みやネットワークの仕組みなどの基礎を学び、さらに、情報スキルの基礎(タイピングやパソコン活用、ソフトウェア開発環境など)について説明します。特にA1ではプログラムの基礎として、C言語を中心に学びます。後半からは、グループでの調査研究として、①画像認識、②交通渋滞、③IT農業の3つのグループに分かれます。夏合宿までに、これらのテーマ別に細分化した調査研究を行ってもらい、個別に発表してもらいます。

研究会A2(2年生秋学期)
大学の夏休み期間も「夏ゼミ」を行いますが、2023年度は暑さで体調を崩した学生も多かったので、お盆明け後は少し時間をおいてからの「夏ゼミ」となります。研究会A2の段階では、Pythonを中心に習得を行い、CやJavaなどのプログラムも使いながら、何かしらのプログラム実験の「結果」を出すことを目標とします。まずはグループで共通したプログラム作成を行い、そのプログラムをアレンジして、個別の成果を出します。個人で進めていくのは大変ですので、教員だけでなく、先輩たちも一緒に研究打合せを行い、何かを仕上げて自信をつけることを目標としています。

研究会A3(3年生春学期)
2年生(研究会A1、A2)で研究してきた内容を洗練させるために、「データ構造とアルゴリズム」や「数値計算法」などプログラミング応用の理論を学びます。さらに、基礎的な確率・統計やベイズ理論なども学びます。これによって、効率の良い情報システム構築について考える能力を身につけます。同じ分野のグループでプログラムのノウハウを共有しながら、個別研究も同時に進めていきます。大学院進学の勉強や就職活動なども並行して進めていきます。

研究会A4(3年生秋学期)
研究会A3で学んだ理論をより発展させる情報システムを構築し、より多くの数値的な成果を出します。そして、春学期に学んだ統計的なデータ分析法や数値解析、情報予測手法などによって、研究成果を綿密に分析することで、研究手法の再検討やシステム再構築などを行います。就職活動でも、研究スキルを身につけた滑川ゼミの多くの学生は、自信を持って取り組むことができ、この段階で内々定を獲得することでしょう。

研究会A5(4年生春学期)
国内外の論文をはじめとした先行研究調査を綿密に行い、地道に研究を進めていく期間です。学生によっては大学院受験勉強を行いながら、指導教員との個別打ち合わせで、より高度な研究へ進めていきます。また、社会人となっているOB・OGや、大学院の先輩からのアドバイスももらえます。そろそろ卒業研究作品(プログラム)として、ある程度完成させ、卒業論文に取り組む時期でもあります。

研究会A6(4年生秋学期)
夏休み中に卒業論文を書き、新学期からは指導教員からのアドバイスにより、研究プログラムを改良して再実験を行うなど、最終の仕上げ段階となります。卒業論文(35ページ以上)は、早めに終え、進学先大学院あるいは内定就職先における次の準備に向けた様々な研究も行っていきます。

【自己紹介】私の現在における研究分野は、(1)過去の状態変化から将来の状態を予測(システムシミュレーション、人工知能)する。(2)スマホのカメラやWebカメラなどの画像を、人工知能技術を用いた画像認識技術によって、日常の危険性を検知したり、工場で不良品検出したり、渋滞状況を分析市たりする。(3)人間どうしのつながりを様々な情報から理論的に分析を行い、相関関係を分析する。(4)スマホのGPSと通信機能により、自動車・トラック・列車・航空機・船舶など効率の良い配送経路と手段を指示する。(5)スマホやパソコンなどの機器を用いて、農業(稲作、畑作、果樹、養蜂など)の効率化を行う「IT農業」の新たな手法の開発を行う。・・・などです。
次に、これらを社会に適用させた私の研究実績の一部を紹介します。交通渋滞の解析・予測への適用で、吉祥寺、富山市、高知市、宮崎市における渋滞解析や、LRT(路面電車)と自動車とのマッチング(主に富山市)、複数の信号が相談しながら自動車の流れを制御するシステムの検証(宮崎市、信号機メーカーとの連携で警察庁へも寄与)などを行ってきました。これとは別に、一部上場企業(当時)において、電子基盤に配置されている部品の製造ミスをチェックする装置の開発研究も行ってきました。

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