学生広報部レポート/大学生が先生になる日 ~中学生にキャリア教育授業をしよう~

学生広報部レポート/世の中の“面白い”を学問する現場から15
大学生が先生になる日 ~中学生にキャリア教育授業をしよう~

嘉悦大学では「世の中の面白いを学問する」をコンセプトに「eスポーツマーケティング」や「炎上経営学」をはじめ、多くの授業で世の中の面白いを追求しています。

今回取材した授業は「キャリア設計論2」です。嘉悦大学では、就職活動だけでなく、自分の人生設計を考えるキャリア教育に力を入れています。キャリア設計論の授業は、就職活動のみならず、大学卒業後の社会人人生の中で最も必要とされる「コミュニケーション能力」の向上を目指し、グループディスカッションやグループワーク、プレゼンテーションをおこなう実践的な授業内容となっています。

2021年12月14日の「キャリア設計論2」では、普段から鍛えているコミュニケーション能力や学んだキャリア知識を発揮する機会として、埼玉平成中学校のみなさんにオンライン特別授業を行いました。
嘉悦大学の学生が5,6人でグループを作り、グループのメンバーそれぞれが役割をもつことで大学生全員が先生になって中学生に授業を行いました。今回は中学1年生と3年生のオンライン特別授業の様子をそれぞれ1つずつ紹介します。

習慣は簡単に自分のものになる

中学1年生には「習慣の大切さ」をテーマにした授業を行いました。習慣を簡単に自分のモノにするテクニックを紹介するという内容のものです。どんなことでも、週に4回、8週間続ければ習慣化できるそうです。でも、実際には習慣になるまでの継続がかなり難しいもので、13歳の中学1年生たちが実行できそうなテクニックを4つ伝授していました。

1つ目は、小さな目標を設定すること。大きな目標をたて、それを達成する過程に小さな目標を設定することが大切。2つ目は20秒ルール。始めようと思っている習慣を普段より20秒早くできるように、準備の時間を省く。3つ目は、目が覚めてすぐに行動すること。起きてすぐは習慣にしたいことが身に付きやすい時間になっていて、その時間を利用することで習慣化につながる。4つ目はIf thenルール。夜ご飯を食べたら宿題をする、というように「何かをしたら何かをする」と決めると実行に移しやすくなる。以上4つのテクニックの紹介後、テクニックを利用して中学生が一人一人習慣にしたいことを考えるワークをしました。

世の中にはたくさんの職業がある

中学3年生には「マインドマップで職業を知ろう!」という授業を行いました。将来の職業を考えるきっかけにしてもらうために、中学生が世の中にある職業をどれだけ知っているかをマインドマップとして黒板に書き出すという内容でした。最初に「ホワイトハッカー」が出てきて大学生もビックリしていました。また、「俳優」から連想する人で小栗旬?佐藤健?キムタク?と盛り上る場面もありました。

中学生が知っている職業を書いている様子

やりたいことは知っていることの中からしか生まれない

大学生による特別キャリア授業の後は、嘉悦大学でキャリア教育を担当されている土橋先生が「本日のまとめ」を行いました。
土橋先生は、これまでのキャリアデザインという言葉は、仕事(働くこと)を指すものだったが、今のキャリアデザインという言葉には、働くことだけではなく、プライベートも含めた人生すべてを意味するようになったとした上で、人生の先輩として「やりたいことは、知っていることの中からしか生まれない」と仰っていました。だからこそ、たくさんのことを知るためにも、さまざまな「人」と会話をし、「体験」をし、「物」を自分の目で見ることを大切にしてくださいと中学生と大学生たちに伝えていました。

授業を終えて土橋先生にインタビュー

北村: 今回は取材にご協力いただきありがとうございました。○×クイズや黒板を使ったワークなど、中学生を意識した飽きない授業にする工夫がされていましたね。

土橋: 当初、大学生たちはありきたりな授業をしようとしてたんですよね。大学生がずっと話し続ける授業。私はこの授業から「相手に合わせたコミュニケーション」を鍛えてほしかったので、これで中学生たちが興味をもってくれるかな?と一言だけメッセージしました。そこからは大学生たちが、自分たちはどんな中学生だったか、どんな工夫をしたら中学生が興味をもって授業に参加してくれるかを考えてくれたので、このような授業スタイルになりました。

北村: 授業を見学していて、大学生の作成した授業資料がわかりやすくて見やすいように工夫されていました。それは学生たちが工夫したんですか?

土橋: もちろん、そうです。とはいっても、実のところ、これも当初は相手(中学生)のことを考えられていないものでしたね。だからといって、教員があれこれ言い過ぎても良くない。「最初の自己紹介ページにある嘉悦大学って中学生は読めそうかな?これが相手に合わせるということ」とフィードバックしました。(笑)

北村: 自分も受験するまで読めませんでした(苦笑)

土橋: でも、みんな、最初はそんなもの。そこからの大学生たちの努力と成長は素晴らしかったです。大学生同士で模擬授業をしてみたり、中学生の弟や妹がいらっしゃる学生は自分たちの作成した授業資料をチェックしてもらったりなど、今日の特別授業のためにたくさんの準備をしてくれていました。

北村: この特別授業を終えてどうですか?

土橋: 中学生はとても素直です。つまらないものはつまらない、面白いものには面白いと反応がはっきりしてる。だからこそ、嘉悦の大学生たちには精一杯の授業準備をしてもらって、1日先生になりきってもらいました。
人に伝えることの難しさと伝わったときの楽しさ、相手のことを考えて工夫することの大切さ。普段は教えてもらう側と聞く側のことが多いと思うけど、教える側と話す側を経験できたことは、彼らの今後のキャリアにきっと役立つと思います!

北村: 今回は自分もいろいろ勉強になりました!ありがとうございました。

土橋: いえいえ~。記事書くの大変だと思うけど頑張ってね!

今回お話を聞いた先生

土橋 堅斗(どばし けんと) 助教

専門はキャリア教育、キャリアカウンセリング。
大手人材サービス企業にて、就職セミナー講師、就職情報サイトのプロモーション業務、大学と学生のキャリア支援コンサルティング業務に従事後、2019年に嘉悦大学に着任。

終わりに

今回の授業を取材して相手に伝える難しさと楽しさを再認識しました。中学1年生に〇×クイズをしてゲーム感覚の授業を行い、中学3年生には黒板に書いてもらってみんなで考えるワークをするといった、中学生の成長に合わせて授業内容を変えることやフリガナや文字の大きさを変えて見やすく伝わりやすい資料を作成する工夫をしていました。これらの経験は、就職活動だけでなく、円滑なコミュニケーションをとるときの大切な視点だと学ぶことができました。

文責:学生広報部 北村 悠馬(経営経済学部3年)

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