学生広報部レポート/世の中の面白いゼミナール(研究会)「飯野先生ゼミナール」社会で役立つ「活きた」会計学を学ぶ!

学生広報部レポート/世の中の“面白い”を学問する現場から21 世の中の面白いゼミナール(研究会) 「飯野先生ゼミナール」 社会で役立つ「活きた」会計学を学ぶ! 嘉悦大学では「eスポーツマーケティング」や「炎上経営学」をはじめ、多くの講義で「世の中の面白いを学問する」というコンセプトに掲げ、学生広報部でもこれまで様々な魅力のある講義を取材させていただきました。しかし、嘉悦大学で「世の中の面白いを学問する」のは講義だけではありません。2年生から始まる専門ゼミナール(研究会)の活動でも、より深く追求していきます。 その中でも今回は、実際の企業の資料を使用して経営状態を判断することを学ぶ飯野ゼミを取材しました。飯野先生は大学2年生の時に会計学のゼミナールに所属して以来会計学一筋で研究をされています。そんな飯野先生に対面で会計学の深さを教えていただきました。 飯野ゼミの概要 会計学は積み重ねが重要な学問です。本研究会の最終的な目的は「会計学を究める」こと。そのために以下のプロセスを経て学習を積み重ねていきます。学年ごとの活動内容をご紹介します。 【2年生】 会計学研究の第1歩として、会計学の基本的な文献を輪読します。これによって会計学の基本的な考え方(基本理論)と基礎知識を身に付けていきます。 【3年生】 会計学への理解を深めます。ゼミ生がそれぞれに特定の企業の財務諸表*を選び、その内容を検討していきます。これによって財務諸表から企業の経営状態を読み取る力を養い、さらに実在する企業の財務諸表に触れることで、「活きた会計学」を学んでいきます。 【4年生】 学生生活の集大成として卒業論文の執筆に取り組みます。卒業論文は4年間の学びを具現化したものです。卒業する時に、「このテーマに関する知識だけは誰にも負けない」と胸を張って言えるようなものを作り上げていきます。 *財務諸表 企業が利害関係者に対して一定期間の経営成績や財務状態等を明らかにするために複式簿記に基づき作成される書類 資料で学ぶ会計学

小林: 会計学を、教科書で学ぶことと実際に財務諸表を見て学ぶことの違いは何ですか?

飯野: 例えば簿記の検定で言うと、検定で出題される財務諸表と企業が実際に作っている財務諸表の内容は同じですが、形式が違います。簿記で出てこない勘定科目※であっても企業によって出てくる勘定科目があります。なので、本来であれば簿記や会計学を学んでいれば、企業が作っている財務諸表を見るときに、その会社の状況を判断することができます。しかし、たいていの人は初見で「何がどこに書いてあるのか分からない」という状況に陥ります。これが教科書で学ぶことと実際の資料で学ぶことの違いです。

※勘定科目 会社の取引による資産・負債・資本の増減、および費用・収益の発生について、その性質をわかりやすく記録するために必要な分類項目の総称 具体的な取り組み

小林: ゼミナールではどのようなことをしていますか?

飯野: 私のゼミナールの目的は、企業が実際に作成して公表している財務諸表を見て、その企業の経営が上手く行っているか、より深く見ていくとどういったところにどのような経営上の問題点があるのかについて分析して、正しく捉える能力を身に付けることです。そのためには、基本的な事柄が分からないと実際の財務諸表を見ても分かりません。なので、まず2年生では基本的な会計学の知識や考え方を学び、そのうえで3年生では2年生の時に得た知識を活用し、実際の企業の財務諸表を見ていきます。

作業をしている様子

小林: 学生に身に付けて欲しいことは何ですか?

飯野: 会計学だけではないですが、コツコツ努力を重ねれば、ちゃんと成果が出ること。これを体験して欲しいです。それが体験できれば、一つの成功体験が出来ます。「今やっていることがすぐに成果として表れなくても続けていけば、近い将来成果として現れてくる」ということを、会計学を素材として体験してもらいたいです。

ゼミで行う意味

小林: 講義ではなく、ゼミナールで行う意味は何ですか?

飯野: 授業だと一人ひとりまで目が届きません。以前、他大学で50人以上の受講生がいる財務諸表分析の授業をしましたが、学生が個々に財務諸表を読み取る作業をした時には、人数が多いので、一人ひとりの作業を確認することが難しく、作業をさせっぱなしになってしまったことがありました。各々が作業をして最終的にはレポートを提出してもらいますが、コメントすらできない状況です。その点、ゼミナールだと人数が18人と少ないので一人ひとりを見ることが出来ます。 私の研究会では一人ひとり別の企業について分析してもらっています。それを中間発表という形で発表してもらうことで、それぞれの考察について私も確認やコメントが出来ています。ゼミ生は他のゼミ生の発表や講評を聞いて、自分が分析をした企業だけではなく、ゼミ生全員分の企業の分析を知ることが出来るメリットがあります。一人で分析していると他の企業と比較が出来ないので、自分が分析した企業が普通だと感じてしまいますが、比較をすることで自分が分析した企業がどんな経営状態か明確に知ることが出来ます。

大変なこと

小林: 教える上で苦労していることは何ですか?

飯野: 教えるというよりも準備に苦労します。ゼミ生それぞれのレポートを見ますが、すべて違う企業(のレポート)なので頭の切り替えが大変です。ゼミ生は自分の分析する企業だけを見ていますが、私は事業内容の異なる企業の分析レポートを見ておかなければいけないので、準備が大変です。 でも、教えること自体はそれほど大変ではありません。分析をしている企業にはセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンのような同業他社がいくつかの業界であります。そのため、比べることが出来、様々な展開の仕方が出来ます。なので、教えるということは大変ではありませんが、準備の大変さがあります。

読んでくれている皆さんへ

小林: 本学の学生や高校生に一言お願いします。

飯野: 大学は学問を行う場です。学問は新たな発見の喜びと、それに伴う楽しさと面白さに 導いてくれます。何か一つでも興味のあることを見つけることが出来れば、それについて深く学び、学問の楽しさと面白さに出会うことができます。何でもよいので、自分にとって興味のあることを見つけて下さい。そうすれば充実した楽しい大学生活を送ることができるでしょう。

日本の会計にまつわる雑学

小林: 財務諸表の形式以外にも教科書と資料の違いはありますか?

飯野: 財務諸表には大きく分けて個別財務諸表*1と連結財務諸表*2があります。 会計学の授業や簿記3級、2級で学ぶのは、前者の個別務諸表のみになります。しかし、企業は、個別財務諸表だけでなく、連結財務諸表も作成しています。しかも連結財務諸表に企業の経営能力がよく反映されているのです。なので、連結財務諸表を見て経営能力を判断する力が必要になります。 また、連結財務諸表については、日本、アメリカ、IFRS(国際会計基準)の3つの会計基準が採用されています。企業は、この3つのうちからどの会計基準を採用しても良いことになっています。すると、日本だけではなく、アメリカの会計基準や国際会計基準で作っている財務諸表も扱えるようになる必要があるのです。これの一番難しい点は連結財務諸表で使われているルールがそれぞれ違うので、分かっていたことでも分からなくなるという混乱が起こりえるということです。 このように実際に企業で作っている財務諸表は教科書に出てくる通りではありません。内容は同じでも見かけが教科書通りではなかったり、出てくる勘定科目がなかったりします。 教科書に出てくる財務諸表や勘定科目はあくまでも一般的な商業や製造業を対象にして、解説をしています。業種が異なれば使われる勘定科目も違うので、すべての企業が該当するわけではありません。それが、実際の財務諸表を見ると分かります。こういう部分も面白いんですよね。

*1 個別財務諸表 法律によって、独立した会社ごとの経営成績などを開示することを目的に作成されるもので、すべての株式会社が作成しなければならないもの *2 連結財務諸表 親会社と子会社など、複数の企業によって構成されている企業集団の財務諸表のことで、金融商品取引法が適用される上場企業などでその作成が義務づけられている 今回お話を聞いた先生 担当教授:飯野 幸江(いいの ゆきえ) 武蔵野市に生まれ、西東京市(旧保谷市)で育ちました。北海道の短大で教えていた10年間を除き、ずっと西東京市に住み続けています。そのため田無駅やひばりヶ丘駅周辺で学生にしばしば目撃されているようですが、その際には遠くから見ていないで声をかけてくれると嬉しいです。 大学2年生の時に会計学のゼミナールに所属してから、会計学一筋で研究してきました。専門は日本会計史で、江戸時代からの三井の会計を中心に、古文書と格闘しながら研究しています。会計情報を見て分析するのが大好きで、この面白さを多くの皆さんに伝えていきたいと思っています。 終わりに 今回は短いインタビュー時間ではありましたが、会計学の深いところまでお話を聞くことが出来ました。飯野先生のゼミナールでは、実際の企業の財務諸表を使用して経営状態を分析することで、社会人になってすぐに役立つ力を身に付けられると感じました。 私は今まで簿記を勉強して会計のことを少しは分かっていると思っていました。しかし、教科書で学んでいる財務諸表と実際に企業が使用している財務諸表は違うということを知り、教科書で学んだだけではすぐに社会に出て役立つ力は身に付かないと感じました。 私は今回のお話で新たな発見をすることが出来ました。これからは教科書で学びつつも、実際の資料に触れ、より学びを深めていきたいと思いました。

文責:学生広報部 小林 奈菜(嘉悦大学 経営経済学部2年)

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