学生広報部レポート/日本の教育格差の現状についてグループワークで考える

日本の教育格差の現状についてグループワークで考える

学生広報部レポート/世の中の“面白い”を学問する現場から18
日本の教育格差の現状についてグループワークで考える

嘉悦大学では、「世の中の面白いを学問する」をコンセプトに掲げ、様々な講義を行っています。学生広報部では、これまでたくさんの講義を取り上げてきました。

今回は、2021年11月26日に株式会社Discovery Studioの今村亮様をお迎えし、日本の教育格差の現状や解決するために行ったことを実体験をもとにお話を伺う「ソーシャルマーケティング」の授業を学生広報部2年生の小林が取材しました。「ソーシャルマーケティング」の授業では、世の中の社会課題をどうしたら解決できるのかを学び考えます。

今村亮様の紹介

株式会社Discovery Studio代表取締役。1982年熊本市生まれ。東京都立大学卒。2003年より認定NPO法人カタリバで出張授業カタリ場、中高生の秘密基地b-lab、コラボ・スクールましき夢創塾、全国高校生マイプロジェクトなど多数の事業創出を手がける。2019年に独立し「ディスカバ!」を立ち上げ、2020年より現職。文部科学省熟議協働員、岐阜県教育ビジョン検討委員会委員を歴任。2022年現在、桜美林大学高大連携コーディネーター、慶應義塾大学非常勤講師、NPOカタリバパートナー、中野区区民公益活動推進協議会委員。共著『本気の教育改革論』(学事出版)

*NPOカタリバ https://www.katariba.or.jp

講義で行ったこと

今回の講義は岩月先生が開講している「ソーシャルマーケティング」の授業にて行われました。
ソーシャルマーケティングは、貧困問題のような世界や日本の社会課題を解決するために企業が行っていることを学び、最終的には、自分たちで社会問題を解決できるような企画を考えるという講義です。

今回の講義で行ったことは主に2つあります。
1つ目は、今村様のお話を聞いて現在行われている社会課題解決の現状を知ること。例えば、認定NPO法人カタリバが被災地・経済格差・不登校など困難を抱える全国の10代を支援するために必要となる年間費用は約15億円に上るそうです。その3割が行政からの委託事業、7割がソーシャルマーケティング等の手法により個人や企業から募った寄付でなり立っていることをお話いただきました。
ソーシャルマーケティングを行う上では企業とNPO 法人がWin-Winの関係にあることや、共に解決したい課題は何か、共有したい体験は何かを考えることの重要さを学ぶことが出来ました。
2つ目は3人から4人のグループに分かれ、グループワークを通じて日本の教育格差の現状を学ぶことです。グループワークでは、自分たちの今までの教育環境を振り返ったり、日本の教育格差はどこで生じるのかを考えたりしました。
講義はグループワークを中心として、学生が実際に考えて学ぶ方法で行われました。そのため、とても賑やかな講義となりました。


講義を通して感じたこと

私は講義を通して、教育格差は貧しい国だけではなく、日本でも起こっていることを知ることが出来ました。今まで、すべての人が義務教育を受けることが出来て、多くの人が高等学校、大学と進学していく姿を見てきたため、日本では教育格差がないと思っていました。しかし、日本でも災害によって教育の機会を奪われたり、金銭的な問題で進学を諦めなくてはならなかったりする現状を知ることが出来ました。
また、グループワークを通して、勉強の他、水泳やピアノなどの習い事にも、親がどのような価値観を持ってどのような子どもになって欲しいかによって、教育の格差があると感じました。私は、習い事を多くやっていると将来の選択肢が増えると考えているので、勉強以外に習い事にも教育格差があると感じました。

一番印象的だったお話

講義を受けて私が一番印象的だったお話は、熊本地震が起こり、学校が避難所になったことで地元の子どもたちは勉強することが出来なかった事です。日本では毎日のように地震が発生しており、大きな地震が起こることも増えてきています。今村様ご自身も、まさか地元の熊本が被災し、家族が自宅を全壊で失うことになるとは思ってもみなかったそうです。地震や津波で教育の機会が奪われてしまうと考えると、教育を受けられないというのは他人事ではなくいつでも自分ごとになると感じました。

岩月先生への質問

Q.講師に今村様を選んだ理由は何ですか?

A.今村様は以前、嘉悦大学でも講義を担当されていましたので、そのご縁もあってのことですが、教育というテーマにおいて、様々な課題に対して現場で取り組まれてきた方であり、その様子を臨場感を持ってお伝えして頂けるのではという期待を持ってお願いをしました。

Q.この講義を通して何を学生に学んで欲しいですか?

A.なぜ企業の「社会課題」に対する取り組みが増えているのか、SDGsやESG投資といった用語も聞いたことがあると思いますが、企業が事業性と社会性の両立をどのように実現していこうとしているのか、マーケティングの視点から理解することが講義の目的です。
「社会課題」と言っても多様であり、課題へのアプローチ方法も多様であることを具体例を通じて知ってほしいと思いますが、他人ごとではなく、自分ごととして捉えることと、関心事を広げていくことがこれからの世の中では重要なことなのではと思います。
また、就職活動の際に、企業を視る一つの「ものさし」としても大事になってくるかと思います。

Q.今回の講義を通して感じたこと教えてください。

A.オンラインでの講演で、ワークショップも取り入れたチャレンジングな内容でしたが、受講生の皆さんは精力的に取り組んでいたように感じました。
講義後に学生から提出されたコメントシートには、通常の授業より長めの、頂いたお話を踏まえた好意的な感想が多かったです。今村さんの取り組みや、取り組みの背景にある社会課題への興味関心を持ったようです。これらを踏まえて、自分に何が出来るか、なにか一歩踏み出すきっかけになるといいのかなと思います。

終わりに

私は今回の講義を通して、実際に教育が十分に受けられていない現状を知って、教育を充実して受けられることは当たり前ではないこと、日本にいてもいつ教育を受ける機会を失うことになるか分からないことを知ることが出来ました。幼いときには「なぜ勉強しないといけないのか、勉強はとても面倒でやりたくないから、やらずに過ごしている人が羨ましい」と考えることもありましたが、この講義を通して改めて教育のありがたみを知ることが出来ました。

今回紹介した「ソーシャルマーケティング」は木幡先生の講義でも開講しています。ぜひ学生の皆さんは受講してみてください。

木幡先生の講義は学生広報部の佐藤くんが取り上げていますので、こちらもぜひご覧ください。
https://www.kaetsu.ac.jp/news22-03-07-01.html

文責:学生広報部 小林 奈菜(経営経済学部2年)

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