学生広報部レポート/世の中の面白いゼミナール(研究会)「図子ゼミナール」  就活にも使える、新たなお金の稼ぎ方

学生広報部レポート/世の中の“面白い”を学問する現場から11
世の中の面白いゼミナール(研究会) 「図子ゼミナール」
~就活にも使える、新たなお金の稼ぎ方~

嘉悦大学では「世の中の面白いを学問する」をコンセプトに「eスポーツマーケティング」や「炎上経営学」をはじめ、多くの講義で世の中の面白いを追求しています。学生広報部でも、これまで様々な魅力のある講義を取材してきました。しかし、嘉悦大学で「世の中の面白いを学問する」のは講義だけではありません。ゼミナール(研究会)の活動でも「世の中の面白いを学問」を探求しています。「世の中の面白いゼミナール」シリーズでは、そんな嘉悦大学の「世の中の面白いゼミ」の魅力をお伝えしていきます。

今回は、普段ICTや情報系の講義を担当している図子泰三先生の「図子ゼミナール」。
扱うテーマは「インターネットビジネスの実践と起業」です。2020年度研究会選択フォーラムでの概要は以下の通り。

図子ゼミナールの概要

本研究会履修者は、必ず個人もしくはグループでインターネットを活用したビジネスプロジェクトを立ち上げ、継続的な改善を繰り返し、本当のビジネスとして成り立つレベルまで高めることを目指します。基本的には、履修者が自由にビジネスプロジェクトを企画し、実行していきますが、その都度私がチェックを行い、よい方向に進めるように仮説と検証を繰り返します。ビジネスプロジェクトとは、具体的には幅広く、コンテンツを発信したり、インターネットサービスを公開したりということになります。

“インターネットサービス”というと様々ありますが、今のゼミ生は「YouTube」や「ハンドメイド通販」などを実践しているそうで、2020年度にはゼミ生が実際に会社を起業し、その体験談をKindleで出版までしたそうです。

図子ゼミナールが、実際にどのような活動をしているのか、“世の中の面白い”ポイントはどこなのか?学生広報部の松本が図子先生にインタビューしていきます。


【ゼミ活動】1円でも生み出せば立派なビジネスオーナー

松本: 都度チェックを行い、よい方向に進めるように仮説と検証を繰り返すとありますが、日頃どういった工夫やアドバイスをしていますか?

図子: アクセス数とかの数字を見て判断しよう、と学生によく言っています。
例えば、YouTubeやってるゼミ生に、「毎回動画の冒頭に(オープニングムービーの様な)動画を挿れようと思っているがどう思うか?」という質問をされたときには、動画の再生状況を確認して、その動画のオープニング部分で(視聴者が)離脱しているようであればやめた方がいいし、見てくれているならアリだと思うと答えました。そういった数字を見ながら「良い数値が表れるなら継続して、悪いなら改善して」を常にやるように言っている。先生だからといってそれが良いか悪いかわかるわけではないからね。

ゼミ生全員がそれぞれのプロダクトを持ち、それぞれの“URL”を持っているという図子ゼミナール。URLを持つ事が第一段階とするならば、誰に見せても恥ずかしくないレベルが第二段階、稼いでる状態が第3段階だといいます。よりよいものへと改善するため先生の経験をもとにゼミ生へ個別にアドバイスを行っているものの、インターネットビジネスは千差万別、各学年20名程度いるゼミで授業時間内に全員に「じっくり対応」ともいかないそうで、「ほんとは毎回全員見たいんだけど、普段はその日やる作業を宣言して、ゼミの時間が終わったら進捗を報告しましょうという会社みたいなことをやってる」と図子先生も苦笑い。

松本: インターネットサービスを配信する事は出来ても、ビジネスとして成立する程やマネタイズとなると大変そうですが、どういった指導をしてますか?

図子:1円でも良いから稼ごうという話をよくしています。0じゃなく、自分のプロダクトから1円でも生み出すことに価値があって、それさえ出来れば立派なビジネスオーナーだと思っています。
あと、学生には時給仕事以外の稼ぎ方を意識的にやったほうが良いと言っています。
例えばコンビニでアルバイトをする場合、コンビニというサービスに取り込まれてマニュアル通りに仕事するだけで、あまりビジネススキルは上がらない。お金をもらえる代わりに時間を削っている感じで。(一方インターネットビジネスは)最初は時給仕事ほど稼げないけど、1円でも自分のプロダクトで稼ぐ経験値やスキルは、どんなビジネスでも就活や就職後でも活きてくる。

インタビュー中、就活についての話が多く出てきました。図子先生は何度か「世の中でお金を稼ぐパターンは色々あって、大学に4年通って就活してサラリーマンになるっていうのと、自営業、起業してビジネスオーナー、投資家。いろんなパターンがある。就職の道だけじゃないよ、とよく学生に話しています。」と仰っていました。しかし図子先生は、「とはいうものの…」と続けます。

【就活】自分のURLを持っていると強い。

図子:いろんな働き方があるとゼミ生には言っていますが、「先生はそう言うけど…」と普通に就活してサラリーマンになる学生が殆どです。だから、就活のこともちょっと意識してゼミの活動を進めています。就職活動では必ず「大学では何をやっていましたか?」と聞かれますよね。みんなサークルとか部活とかの事を言うと思うけど、口ではいくらでも盛ることができる。そんなとき、自分のURLなどを持っていると強い。その場でスマホで見せられるし、「頑張りました」を証明できちゃう。これさえできれば、面接中の喋りが上手くない学生でもうまくいく可能性が出てくる。こういうことを学生に言うと、「じゃあもうちょっと頑張ろうかな、就活本番までにできるだけ多くやろうかな」となってくれるんです。

図子先生は就活などで外に持っていく時のために、ゼミ生の制作するメディアなどの殆どのものに独自ドメイン(唯一無二のURL)を付与しているそうです。そうすることによって、学生はより自分ごとにしやすく、外から見たときに誰のものでも無くその人だけのものに見せられる効果があるそうです。


そういった「自分ごと」化や、就活という近い未来を意識させることで、制作のモチベーションに繋げていっているそうです。

【世の中の面白い】15回で終わる普通の講義じゃ出来ない経験

松本: ずばり、図子ゼミナールやインターネットビジネスの“面白い”とはどこでしょう?

図子:やはり、自分のプロダクトやサービスを持てることだと思います。
サービスといっても、例えば飲食店をやるとなると最低数百万円はかかるにも関わらず、利益はそんなに高くない。その点、インターネットビジネスは殆どコストをかけずスマホだけでできるし、上手くいったら“働いた時間以上に利益をあげられる”ところが面白い。
これを“労働集約的じゃない”って言うんですね、YouTubeなども寝ている間に再生されたらお金が入る。ただ、労働集約的じゃないビジネスは、最初の利益0状態がすごく長くて、結構耐えないといけないし、繰り返し改善していかなければならない。でも、そこから得られる経験はプライベートにせよ仕事にせよ全てに役立つと思います。
ただ、(インターネットビジネスは)繰り返し改善していくことが本当に重要なので、15回で終わる普通の講義じゃ扱えないんですよね。15回しか繰り返せないし、終わっちゃうから。

通常の授業が1学期間、15回きりの授業で終わってしまうのに対し、嘉悦大学のゼミナール活動は通常、2年次の春学期から4年次まで継続します。そんな2年以上もの長い期間、先生監督のもと「自分のプロダクト」を成長させ続け、経験を積み続ける事が出来るのは、図子ゼミナールやインターネットビジネスならではの面白さなのかもしれないですね。

今回お話を聞いた先生

図子  泰三(ずし たいぞう) 准教授

1976年、大阪府生まれ。慶応義塾大学大学院修了。博士号(政策・メディア)取得。2006年にシステム開発・Web系コンサルティングを行う株式会社エアリーを立ち上げる。
ビジネスとは別に、メディアアートユニットh.oテクニカルディレクターとしても活動している。

終わりに

ゼミ生が起業した話やゼミ生の生の声などもお伝えしたかった所ですが、今回はここまで。
いかがでしたでしょうか。

「好きなことで、生きていく」という言葉が広がるほどに自分の趣味や特技、興味関心をインターネットを基盤に“ビジネス”として展開できる現代で、“世の中の面白い”であるインターネットビジネスを追求することは自身にとっての面白いを追求することに繋がります。その経験は自身の生き方について考える機会となるのかもしれません。
また、インターネットビジネスを通じて自身のインターネットスキルやビジネススキルを培う事ができれば、就職後は勿論、コロナ渦のニューノーマルに適応した、今後活躍できる人材になれるかもしれないと感じました。

次回もお楽しみに!

文責:学生広報部 松本慈源(嘉悦大学 ビジネス創造学部 4年)

前回:「学生広報部レポート/世の中の面白いゼミナール ~内海ゼミナール~

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