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学部・大学院

研究科長 挨拶

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大学院ビジネス創造研究科 研究科長 上原 聡

 

中小企業研究の伝統を継承しつつ、戦略・政策研究を特色とする経営大学院として再スタートし、「実践知」重視の研究教育を展開します。
 

ICT技術の発展は人々の生活をより便利にし、自動運転技術に代表されるような人工知能の研究成果にも目を見張るものがあります。この利便性追求の先に私達はどのような社会像を描くのでしょうか。また、医療の進歩は平均寿命を延ばし長寿社会を実現しました。しかし、その一方で要介護数の増加や少子化による労働人口減少のような深刻な社会的課題をわが国では多く抱えています。同時にグローバルに競争が展開される経済活動や膨大な商品・サービスが市場に溢れる中で、取り巻く経営環境は益々厳しくなっています。

ここで営利・非営利を問わず経営にとって重要な視点は、直面する個別の課題を解決できるマネジメント能力を備え、次世代の社会像・社会のあり方を描ける“人財”を育てることです。これまでよりも、人的資源が一層重要な経営資本となっているのです。

具体的には、今後の経営には諸領域間にわたる専門知識の集成的な見識力を有する人財の有無が勝負になるでしょう。小手先の対応策ではなく、深く考えて物事の本質を見極められる見識力を形成する基盤を教育機関が担いますが、最近では高等教育機関においても実務的スキルのみの習得に重きが置かれている傾向にあります。

このような深く考える力を教育によって養うカリキュラムや場が減少していることに、日本経済の競争力低下の一因があるようにも思えます。そして大学院こそ、そのような力を養う場であるものと考えます。

 

本学大学院ビジネス創造研究科は、「中小企業憲章」が示すように日本経済を牽引する存在である中小企業に関する研究拠点として平成22年度に開設されました。開設以来、これまで精力的な研究・教育が進められ、創立117年を迎える嘉悦学園理念の実学教育を踏襲しつつ、実積として博士前期課程で79名、後期課程で9名(課程博士学位授与者)の有能な人財を輩出してきたと自負しております。さらには論文博士制度も設けており、既に7名に博士学位が授与されています。

博士前期課程では、学術研究に必要な基盤として、妥当な問題設定と論理構築の能力を養成します。博士後期課程では、独自性のある学術的知見を新たに創出できる研究者能力を養成します。研究・教育方法の特徴としては、講義形式による理論知と実践知を融合すべく、ライブケースとして複数の企業経営者に登壇頂き、現場の生の声、情報を聞き取り入れて理論と参照し合う、あるいは企業経営者から提示された経営課題の解決策を学生が提案するカリキュラムを導入しています。これを少人数制ならではの強みである、手厚いフォローと学生・教員による濃密な関係性の中で実現しています。

以上のように、ビジネス人財および研究者輩出に実績を残してきた本学大学院ではありますが、お陰様で昨年度に開設10周年を無事迎えることができ、次の展開に向けて只今邁進しております。これまでの教育経験の蓄積を踏まえ、新たなニーズを取り込むことで、中小企業研究の成果・実績(戦略・政策立案)を大切に継承しつつ、より広い範囲に対象を拡充する所存です。

ビジネス創造研究科のカリキュラムは、現在直面している経営課題に対処すべく、事業の中核機能となるマーケティングの戦略を主軸に置いたマネジメント領域をはじめ、学生からの要請が高く社会的なニーズの高まりを受けての「政策(公共経営)」および学園の伝統的な強みであった税務・会計による領域、さらには事業に不可欠な先端的情報技術の領域から構成されています。

私ども嘉悦学園の伝統は商業教育にこそありますが、税務・会計とマーケティングはこの伝統を体現する象徴的な学問となるわけです。税務・会計とマーケティングを柱に戦略・政策の“立案スキル”を重点的に養う「戦略・政策研究」を特色とする経営大学院として、見識力を醸成する研究・教育拠点になることを目指していきます。

長きにわたる本学の伝統が培ってきた教育資産としての会計教育および実学精神に支えられた魅力的な経営大学院です。

 

是非とも一緒に学び合い、成長し合い、さらなる飛躍を共に遂げて参りましょう。

皆さんの入学を心よりお待ちしています。

 

Profile


1967年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了、専修大学大学院商学研究科博士課程修了。博士(商学)

日本交通公社(JTB)を経て、長年にわたり大学行政のマネジメントに従事。非営利組織における経営戦略の立案を数多く手がける。専門分野は、マーケティング戦略論。特に感情を考慮した心理学的なアプローチや文化論的なアプローチを研究の中心としている。

主著書:『感情マーケティングの理論と戦略』(専修大学出版局2008年)、『中小企業が市場社会を変える-中小企業研究の社会論的転換』(共編著、同友館2014年)、『文化視点のマーケティング論』(同友館2015年)、『サービス化社会のマーケティング構想』(単編著、創成社 2016年)、『魅力創造するマーケティングの知』(単編著、同友館2017年)など